舞い舞い虫独り奇術

 土井陽子さんの『舞い舞い虫独り奇術』という小説を求めて読んだ。

 明治二十九年、横井座という千日前の劇場のこけら落としの翌日に地元の博徒に刺されてその十日後に死んだ、横井勘市という男について調べていたら、この小説に辿りついた。他には、明治43年の大阪朝日新聞に連載された千日怪談(横井勘市物語)がある。

 さて、この物語。明治期の大阪の興行界の事情に関しては詳しい。作者は劇作家でもある。しかしながら当時の制度上のことなどは調査が表面的で、現代人が推測で書いた故に、考証的には正しいとは言えない記述が少なくない。またその辺りを扱った文章が妙に説明的である。美しくない。

「舞い舞い虫」とは、ミズスマシのことだそうな。

 自分が書く文章の拙さと同じような記述をみると、一種の同族嫌悪のような、いやな気分が湧いてきてしまった。反面教師としよう!